星景

夏の終わり、緑の牧草地で月とオリオン at北海道日高地方

毎月新月期には身を軽くし天気がよければいつでもすぐ撮影に行けるようにしている。ただ9月は天候や自分のタイミングが合わずなかなか行けずじまいにいた。満月も近くなりさすがに今月はだめかとあきらめかけた28日、運よく晴れて星空撮影いくことができました。

とはいうものの星の撮影できる時間は月入りの2:17から夜明けの3:55までの約1時間半。星撮りの時間としてはかなり厳しい。ただせっかく満月に近い月が長く出ているならと、今回は自身初の月景写真に挑戦することにした。レンズは少し前に妻が人物撮り用に買ったタムロンの70-180mmを借りた。

初の月景写真に挑戦

前の晩、月の撮影方法をネットで可能な限り調べ現地にてぶっつけ本番。結論から言うと星景写真に比べてはるかに難しかった。まずロケーション。月をできるだけ大きく映したいのでできるだけ望遠側を使いたいが、今回のレンズの最大焦点距離180mmを生かせる数キロ先の地上景となるほどよい風景がなかなか見つからない。星景写真用に目星をつけていたロケーションでは100mmで写すのがやっとだった。

下写真は構図を決めかねているうちに空の色と月の位置が目まぐるしく変わっていく中必死で撮りきった1枚。結局構図にうまく収めるために空と地上を分けてパノラマで撮影した。

(20200928撮影 α7ⅲ,tamuron70-180mm F/2.8:月景7枚パノラマ合成,100mm,iso100,f9.0,ss1/8,地上景7枚パノラマ合成,100mm,iso100,f7.1,ss0.4)

下写真は月が沈む前の時間帯に撮ったもの。月と地上風景の明暗差が激しく、月に露出を合わせれば地上真っ暗、地上に露出を合わせると月が白飛びしてうまくいかない。結局星景写真を撮る要領で別撮りして合成したが、星景写真の合成と比べると地上の露出が足りずシルエット的な絵にしかできない。。

(20200929撮影 α7ⅲ,tamuron70-180mm F/2.8:月景100mm,iso100,f10,ss1/8,地上景5枚スタック,100mm,iso800,f5.0.1,ss20)

望遠で撮るのをあきらめ星撮り用の広角で撮った鳥居と月。月を白飛びさせて神々しく撮ってみた。

(20200929撮影 α7ⅲ,sel24f14gm:iso3200,f16,ss20)

鳥居と月をとっていると、突然地面を這うような霧が立ち込め幻想的な雰囲気に。

(20200929撮影 α7ⅲ,sel24f14gm:iso3200,f16,ss20)

緑生い茂る牧草地で冬の星座オリオン

やがて月が沈み、星撮りの時間に。今シーズン初めてのオリオン撮影で胸高まった。個人的には夏の派手な天の川より、オリオンを中心とする冬の星座の方が繊細で好きだ。

さて最初の場所は赤い屋根のサイロと崩れかけの木造小屋。グーグルロケハンで見つけたときは小屋がしっかりとしていたのですが、現地に行ってみると屋根が九の字にひしゃげていました。北海道サイロ小屋あるあるですが、この手の小屋は冬の雪の重みでいずれは崩れなくなっていく運命にあります。これまでこのような光景は何度も見てきました。完全に崩れる前に訪れることができてよかったです。

(20200929撮影 α7ⅲ,sigma14mm f1.8 art:星景14枚スタック,iso3200,f2.0,ss20,LEEソフトフィルターNo.3使用/前景9枚スタック.iso6400,f2.5,ss30,LEEソフトフィルターNo.3使用)

続いて、場所移動して夕方月の写真を撮った牧草地帯を見下ろす高台に。撮影時間短縮のため、前景は予め月の出ている時間帯に撮影したものを使用しました。そのためやや明るく月明りによる影がところどころに出ています。北海道特有の広々とした牧草地帯に降り注ぐような満天の星空。撮っている間も心地よくなるような星景写真を撮ることができました。

(20200929撮影 α7ⅲ,sigma14mm f1.8 art:星景7枚スタック,iso3200,f2.0,ss20,LEEソフトフィルターNo.3使用/前景9枚スタック.iso6400,f2.5,ss30,LEEソフトフィルターNo.3使用)

熊に怯えながら

ところで今年は各地で熊の被害が報告がありますが、北海道も例外ではありません。今回の撮影地付近も昨年から普段は熊が出没しない牧草地帯に熊が出て、飼われていた牛が食べられるなどの被害がありました。そのため今回は撮影用のザックのサイドポケットに熊スプレーを携帯しての撮影となりました。

とりわけ次の撮影場所は深夜にはほぼ一台も車が通らない山奥の道で近くに沢がありと熊が出没するには十分のロケーションで警戒心が高まります。何回撮影を繰り返しても、熊への恐怖心がなくなることはありません。小心者で幽霊もたまに怖いと思いますが、遭遇しても最悪死ぬことはないと思うとやはりヒグマの方が怖いです。最悪死にますので。。

さて、そんな恐怖心と闘いながら暗闇の一本道で自撮りです。撮影に入る前に、車のクラクションを数回鳴らしました。15秒静止を数回、じっとしている時間がいつもより長く感じます。暗闇過ぎて地上画質があまりよくありませんが、何とか意図する写真が撮れました。

(20200929撮影 α7ⅲ,sigma14mm f1.8 art:星景,iso3200,f2.0,ss15,LEEソフトフィルターNo.3使用/前景.iso3200,f2.8,ss15,LEEソフトフィルターNo.3使用)

下は自撮りなしの写真です。暗部を明るくしてますが、どこからも全く光が入らない暗闇です。

(20200929撮影 α7ⅲ,sigma14mm f1.8 art:iso3200,f2.0,ss15,LEEソフトフィルターNo.3使用)

最後に星空の競演を堪能して

ヒグマの出そうな一本道で怖さで妥協して手短に撮影を終えたので撮影時間が余ってしまいました。予定していなかったもう一箇所に最後に向かいました。

牧場の柵越しに見上げる星空。エアロケハンではこの柵の内側に一本特徴的な木が立っていたのですが、現地につくと跡形もありませんでした。おそらく台風で倒れたか邪魔で切られたかと思いますが、これも星景撮影あるあるで仕方ありません。ただ木がないおかげでこの日の満天の星空をより直接的に堪能することができました。

一目でわかるオリオン、明るい星を結ぶ六角形の冬のダイヤモンド、左下にはひと際輝く金星、そこから冬の天の川の方向とXに交差するように伸びる横道光と呼ばれる光の筋。そんな星空の競演を眺めながら今回の撮影は終わりました。ありがとうございました。

(20200929撮影 α7ⅲ,sigma14mm f1.8 art:星景10枚スタック,iso3200,f2.0,ss20,LEEソフトフィルターNo.3使用/前景8枚スタック.iso6400,f2.8,ss30)

おまけ

同じ場所でオリオンが昇り始めたころ月が沈む前に撮った写真です。露出を普段の闇夜での撮影の半分くらいに絞っても昼間のような明るさで映ります。なかなかこのような明るい状況で撮ることがありませんが、ロケーションのよい場所で月あかりを利用してこのようにあえて明るく撮る星景写真も面白いかもしれません。

(20200928撮影 α7ⅲ,sel24f14gm:iso800,f2.0,ss15,Kenko PRO1D プロソフトン クリア(W)使用)

 

 

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