「写真はプロセス」あるプロの写真家が言った。常に結果を求められるプロがそれを言うことに言葉の重さを感じた。1枚の写真だけでは、写真を撮るまでに至る過程などほとんど見えないかもしれない。でも撮影者にとって、1枚1枚の写真にはそれぞれ過程があり体験があり感動があったりする。その過程が貴重であればあるほど、結果である写真はその人にとって貴重であり価値あるものにちがいない。
その写真は自分が思うほど他人からは評価されないかもしれない。でも、それで良いと思う。冒頭の写真家の言葉の真意はわからないけど、写真の真の価値はその人が辿った過程そのものにあると自分は思うからだ。
前回の記事で合成写真のことについて書きinstaでも同じようなことを書いたら、ダイレクトメッセージで「東京カメラ部も合成写真を認めている。お前の合成写真批判はおかしい。」などとわざわざクレームをくれる方がいた。そのような方々にとっては結果が全てであり、たとえ過程を省き人を欺くような合成写真であっても価値のあるものなのかもしれない。
他人の価値基準がどうであれ、本当に価値があると信じるものを大切に自分は写真を撮っていきたいと思う。
冬山始め
さて、また前置きが長くなりましたが今回は先月11月に行った今シーズン初となる雪山での星空撮影を中心に振り返ります。雪山といっても札幌近郊の山で家から雪山登山入れても2時間ほどで行ける山になります。あまり冬は晴れることが少ない場所ですが、この日は珍しく終始快晴でした。新雪が積もったばかりで腰まで雪に埋まりわずか30mほど歩くのに20,30分もかかる場所もあり大変でしたが久しぶりの雪山で楽しかったです。
ダケカンバと星空
ここは1000m級の山ですが森林限界近くの高山地域に生育すると言われるダケカンバが見られます。厳しい環境で育つためユニークな形の木が多くとても好きな被写体です。ずっと見ていると人のように見えてくる木もあり写真を撮っていると飽きません。下写真はそのダケカンバと天の川。夏の大三角もかろうじて入ってくれました。やや光害の影響がありましたが、その色かぶりをそのまま構図に生かしました。
次に別の場所のダケカンバとオリオン。手前のふんわり積もった新雪がポイントです。毎回思いますが、雪の色の再現というのは本当に難しいですね。見たままのきれいな雪の白というのはいわゆるデータ的な真白ではなく色がある白なのですが、微妙な色加減なのでいじり過ぎるといずれかのカラーにすぐに色かぶり状態になりきれいな色になかなかなりません。下の写真はそんな中でもよい色の塩梅になりました。
続いてダケカンバの木々と戯れるかのようなオリオン。自然の美しさと厳しさ、ダケカンバの生命力と力強さ、そして繊細なオリオンと星空。自分の好きな要素が詰まった1枚が撮れました。
続いてロッジ風木造小屋とオリオン。
同じ小屋をライトアップして。これはinstaのクリスマスショット用に撮りました。サンタとトナカイの影絵も貼り付けクリスマス仕様でアップしましたが、相変わらず人気なくてへこみますね(笑)
5時間以上撮影した後のザック。この日は山の上としてはさほど寒くなく下がっても-1,2度でしたが、いつも雪山登山の時に体温維持のために携帯する保温ボトルの白湯を2口くらい飲んでしまうときにうっかり蓋を閉め忘れこのザックの中で盛大に雪に変えてしまいました。おかげで撮影終了時はかなり体が冷えてしまいました。
ニセコ有島記念館で星空撮影
場所ががらっと変わりますが、先月はニセコにも星空撮影に行きました。下写真の建物は有島記念館になります。あまりここでの星空の写真を見たことがなかったのですが、撮ってみてあまり皆さんが撮られない理由が分かりました。記念館前の公園内周辺には強い光を放つ街灯があり、建物自体の保守灯の明かりもそれなりに強いためなかなか撮影が難しい場所でした。ソフトフィルターも使えず、星がやや地味な感じになってしまっています。
下は同じく記念館公園内の池で撮った30分余りの星の軌跡。いつもとは違い1枚撮りになります。
廃バスと星空
場所変わり廃バスとオリオン。実はこのバスは2年前に見つけたバスですが、コロナ自粛などもありなかなかこれず今回やっと撮影することができました。
トラス模様と星空
次は古いトラス構造の橋。こういう幾何学模様が結構好きだったりします。
冬を待つ畑で
まだこの頃は雪が降る前でした。きれいに整地された畑が冬の訪れを静かに待っているように感じる景色でした。
下写真は試し撮りに1枚撮りで撮ったものですが、帰ってみてみるとオリオン近くに小さな流星も映っていてなかなか良い感じだと思った写真。
以上、駆け足で11月に撮った星景写真を振り返りました。最後までお読みいただきありがとうございました。